長年家具を使っていると、傷がついてしまったり、ツヤが失われてしまったりすることがあります。さらに、「木製の家具を購入したけど、違う色にリメイクしたい」「家具が部屋の雰囲気とあわないので塗装したい」……このような理由で、家具の塗装を考えている人はぜひこの記事を参考にしてみてください。
家具の塗装にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が違うのです。この記事では、塗装に必要な道具、手順、事前に準備しておくことなど、家具の塗装の仕方やコツなどについてご紹介します。
「家具の塗装をしたことがないから不安……」そんな人でも大丈夫、あなたの塗装を手助けします!
家具に使用する塗装の種類を選ぼう
家具を塗装する前に、塗装の種類を選びましょう。「塗装に種類があるのは知っているけど、どのような違いがあるの?」という人に向けて、種類別の特徴をご紹介していきます。
ウレタン塗装
ウレタン塗装はポリウレタン樹脂を原料とする塗装方法です。家具、とくにテーブルやフローリングなどによく使われています。
木は、本来伐木されてからも呼吸をし続けますが、ウレタン塗装をすることによって表面がふさがれるため、呼吸することができなくなります。なにも施されてない木は乾燥により割れることがありますが、ウレタン塗装により反りや割れがなくなるのです。
また、ウレタン塗装のメリットとしてウレタン塗装の家具は熱や水、傷に強い傾向があります。気になる汚れを水拭きで掃除できるのはうれしいですね。
反対に、傷がついてしまうと修理が難しいことや、表面を分厚くコーティングすることにより木の質感を味わえないことがデメリットです。
ラッカー塗装
先ほど紹介したウレタンにシンナーなどを入れて薄めて作られたものをラッカーといいます。ラッカー塗装は日本よりも海外で使われていることが多く、家具だけでなくギターなどの弦楽器にも使われている塗装です。
ウレタンは塗膜が少し分厚くなってしまいますが、ラッカー塗装の場合はほどよい光沢感と「木材のよさ」を残してくれます。自然な仕上がりのほか、もし表面が剥げてしまっても簡単に塗り直しができるメリットがあります。
しかし、ラッカー塗装はウレタン塗装に比べて、水や熱に弱いです。そのため、たとえばテーブルにラッカー塗装を施したい場合は、マットを使用して飲み物や料理の水や熱が直に伝わらないようにするといいでしょう。
オイル塗装
オイル塗装は天然成分のオイルを塗料として使用する方法です。シソ科の荏胡麻(えごま)や、亜麻(あま)科の亜麻の種子を主原料として塗料にします。素材感を大切にした家具や学習机などに使われることが多いようです。
ポリウレタン樹脂を使うウレタン塗装やシンナーで薄めるラッカー塗装に比べて、環境にも人体にも優しい塗装方法です。赤ちゃんや小さなお子さまがいるご家庭でも安心ですね。木目、木材の色などを残したまま塗装することができるので質感もそのまま楽しめます。
優しい素材を使っている以上、耐久性には欠けてしまうのが難点です。キズや汚れがついてしまったら、定期的にメンテナンスしてあげましょう。
UV塗装
正式名称は紫外線硬化塗料という名前で、その名の通り紫外線を使って塗装する方法です。女性がジェルネイルを硬化させるのに使うのと同じで、UV塗装も塗料を塗って硬化させます。
UV塗装は鏡のような仕上がりになるので、UV塗装を施すと、光沢感や高級感を演出することができるでしょう。カウンターテーブルやエレベーター、床材など幅広い場所で使われています。
強い衝撃に弱く、なにか物を落とすなどして、UV塗装が剥げてしまうとメンテナンスが難しいため注意しましょう。
塗装をするのに必要な道具をそろえよう
塗装をするときには、事前に下記の道具を準備しておきましょう。
【用意するもの】
- ・塗料
- ・手袋
- ・ハケ
- ・ローラー
- ・トレイ
幅広い価格や性能の塗料が売られていますが、中には人体に有害なものもあります。お子さま、ペットがいる場合はとくに高品質なものを選ぶことをおすすめします。
机など広範囲に塗るときは、コテバケットとスポンジが一体化した「コテバケ」が便利です。普通のハケやローラーを使うよりも、一気にムラなく塗ることができますよ。
実際に塗装をしてみよう
それではいよいよ、自分で家具を塗装する方法をご紹介していきます。
まず環境ですが、塗装をする日は天気がよい晴れの日の午前中が最適です。なぜなら、気温の低い日や湿度の高い日は塗料が乾きづらいからです。
下準備として、塗料を塗る前に「すぐ塗料を塗ってもいいものなのか」を確認しておきましょう。素材によって、すぐに塗っていいものもあれば、表面がニスなどでコーティングされていて、重ねて塗料を塗ってはいけないものもあります。
また、長年使っている家具の場合、ささくれや傷などによって表面がでこぼこしてしまっているかもしれません。しっかり研磨して表面をなめらかにしてから塗装するようにしましょう!
【塗装方法】
1.表面のゴミ、サビなどをしっかりとり、濡れている部分がある場合は乾かす。
2.塗りたくない場所はマスキングテープなどで覆う。
3.塗料を塗りつけて、ローラーやハケで伸ばす。
4.全体を塗り終えたら、しっかりと乾かす。
5.マスキングテープなどで覆っている部分がある場合はここで剥がす。
6.二度目の塗装をして、乾かす。
7.ウレタンニスで表面をコーティングして完成。
広範囲の場所はローラーやコテバケを使って伸ばしましょう。上から下、左から右と一方通行で塗っていくときれいに塗ることができます。細かい部分はハケで埋めていきましょう。
また、どのようなものでも1回塗っただけではムラができやすいので、2回塗るようにすると仕上がりがきれいです。
塗装後の片づけは早さが肝心!
塗装を終えたら、ハケなどが固まってしまうのを防ぐため、すぐに塗料のついている道具を後片付けします。
水性塗料の場合は、水で洗い流してから中性洗剤で洗いましょう。油性塗料の場合はペイントうすめ液で先に洗ってから、中性洗剤で洗い流します。ハケ洗い液を使う場合は中性洗剤で洗い流す必要はありません。
なお、ラッカー系、アルコール系の塗装にハケ洗い液は使えません。ラッカーうすめ液を使うようにしましょう。
完成度・デザイン性のアップなら業者に依頼
「自分で塗装したらムラになってしまいそうで不安……」「複雑なデザインがしたい!」そんな人は、業者に依頼してみるといいでしょう。塗装業者は専門の知識があり、道具を備えているので、自分では難しそうなものであっても、柔軟に対応することが可能です。
しかし、いい塗装をしてもらうには、いい業者を選ぶ必要があります。この章では、いい業者を選ぶ3つのポイントについてご紹介します。
1つ目のポイントは、見積もり、施工金額が明白かどうかを確認しておくことです。業者によって施工金額が大きく異なることはよくあることで、ときには「見積もりのときよりも金額が高くなっている!」なんてこともあるのです。不鮮明な記載やわからないことは、事前に業者にたずねましょう。
2つ目は、アフターフォローがしっかりしているか、という点です。塗装してもらったはずなのに傷があったり、ムラなどがあったりしたら、すぐに対応してもらいたいですよね。業者を選ぶときは、アフターフォローサービスをおこなっているかを確認しておきましょう。
3つ目は、スタッフの対応は適切かどうかという点です。こちらの要望を汲み取ってくれて、満足なコミュニケーションがとれるスタッフかどうかをチェックしましょう。価格がいくらリーズナブルでも、依頼人を不安にさせる業者に頼むとのちのち後悔してしまうかもしれません。
まとめ
この記事では、家具の塗装についてご紹介してきました。ぜひ今回ご紹介したことを参考にして、家具の塗装に挑戦してみてください。どのような家具も、塗装をする前に表面にある傷などを確認して取り除いておくことが、きれいに塗装するコツです。
自分でやるとムラができてしまう場合や、自分で塗装するには難しいような凝ったデザインにしたい人は業者に依頼することをおすすめします。業者に依頼するときは、同じ条件で複数の業者に依頼する「相見積もり」で効率よく選ぶことができますよ。